今週、Amazonで最も注目された本をカテゴリ別に毎週更新しています。買いたい本が決まっていないときの参考にどうぞ!
1位 22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書)
著者:成田 悠輔
発行日:2022年07月05日
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投稿者:火星
カネ稼ぎの最低な本
結局、何も変わりません。ただ成田悠輔が儲かるだけの本。ただそれがいい!
2位 13歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海
著者:田中 孝幸
発行日:2022年02月25日
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投稿者:一日一生
2時間で地政学と生き方が勉強できる
謎の古物商の店主と、高校生と中学生の兄妹によるやりとりを中心としたストーリー仕立てで、最新の国際情勢や地政学を一気に学べる良著です。私は海外駐在3年のサラリーマンですが、欧米のビジネスパートナーと接すると、彼らは若いうちから地政学を考えながら生き方やビジネス戦略を練るという考え方の癖がついていると感じます。日本人がこの点で弱いのは、大学までの学業で安全保障も交えた地政学のリアリズムを学ぶ機会が少ないからだと思います。その点でこの本は中高生向けの副読本となるのはもちろん、社会に出たてのビジネスマンも読む価値が高い本だと感じました。複雑なウクライナ情勢の経緯も、報道で見る以上にすっと頭に入るはずです。ぜひ、最後まで読んだ方がいいです。最後には少し哲学的な問いかけが待っていますので。
3位 テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる (SB新書)
著者:伊藤 穰一
発行日:2022年06月06日
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投稿者:早乙女 輝(Hikaru Saotome)
時代にとりのこされないように本書を読んだがよかった!
結論!Web3の未来の世界をわかりやすく説明してある良書です。時代にとりのこされないように本書を購入しました。著者の伊藤穰一氏は、2008年米国Business Week誌にて「ネット上で最も影響力のある世界の25人」に選出され、輝かしい実績もここに記載出来ないくらいあります。ただただ、とにかく凄い人です。内容は、Web3という今、我々は激震が起こる入り口に立っているというとが具体的にかかれています。現在、世界的に大きな関心事になっていることは、「誰がweb3時代の覇者になるか」です。現在、世界的中の誰もが知っているディズニーは、人気、知名度、ビジネスプランにおいても、誰もが認めるナンバーワン企業です。そのディズニーより、成功する企業名はBored Apeと著者は予想しています。著者は、将来的に第6章で、そのディズニーを追い越す勢いのある「マイクロソフト、Meta、Twitter、ソニー VS Bored Ape」の戦いになっていくのではないかと予想しています。話は、現代に戻します。Web2.0では、自分のネットワークがGoogleやFacebookといったプラットフォームに紐づいていました。自分の持ち物であるはずなのに、自分の自由に扱えないということを我々は学びました。我々の日本で、Web3が浸透することは、海外の巨大企業の手に握られていた所有物を、日本人が自分たちの手に取り戻すこと、ともいえます。これは、失われた30年を取り戻すチャンスだ!と私も思いました。そういった意味でも、本書はとても興味深いです。以下は本誌よりを理解してもらうため、各章を私なりに工夫して、詳細に記載させていただきました。ご参考にしていただけましたら幸いです。『尚、大変厚かましお願いで恐縮ですが、一番下の欄に『参考になった』を軽く、やっぱり強くタップしていただけますと私の生きる希望になります。』m(._.)m【目次】【はじめに】・世界は、新しいルールで動きはじめた・web3「ガバナンス・働き方・組織」の前提が覆される・メタバ -ス コロナ禍で結びついたweb3とバーチャルリアリティ・NFT「お金に替えられない価値」が可視化される【序章】〜web3、メタバース、NFTで世界はこうなる〜・Web1.0 Web2.0そしてweb3は、どんな革命を起こしたか・web3のキーワードは「分散」・世界はディストピア化する?・2022年はなぜ、「web3元年」になったのか・加速するクリプトエコノミーへの人口移動・web3とは、 「トークン」が行き交う世界・「通貨」でしかないビットコイン、「コミュニティありき」のイーサリアム・Web1.0は「読む」、Web2.0「書く」は web3は「参加する」・新経済圏で、社会問題が解決する・「メタバース」はどこにあるのか・世界はこれから、こうなる【第1章】 〜働き方 -仕事は、「組織型」から「プロジェクト型」に変わる〜・ビジネスは「映画制作」のようになる・プロジェクトは「パズルのピース」を組み合わせるものへ・より手軽に、より強く結びつき、成し遂げる・DAOで 「株主、経営者、従業員」の構図が崩れる・働き方は、勤め先に縛られなくなる・仕事は、おもしろいことに「本気で参加する」ものになる・報酬、配当、権利を「トークン」が司る・DAOは万能なのか・「お金に換算できないトークン」の価値・仕事の「内容・場所・時間」からの解放は、格差是正につながるか【第2章】〜 文化 一人々の「情熱」が資産になる〜・ブロックチェーンで実現した真贋・所有証明・「NFTバブル」の次に来るもの・「かたちのない価値」が表現できるようになる・アーティストが事業者になる・NFTが環境を破壊する?・文化は「消費するもの」から「コミュニティに参加するもの」になる・「D to F」で変容するファンコミュニティ・「好きだから買う」ことにこそ意味がある・「売れそうなNFT」だらけのウ ットはダサい・何をNFT化したらおもしろいか・たとえば「宗教的行為」「学位」をNFT化する・BANKLESS-銀行なしで生きる若者たち【第3章】〜 アイデンティティ -僕たちは、複数の「自己」を使いこなし、生きていく〜・人類は、「身体性」から解放される・ニューロダイバーシティ-「脳神経の多様性」が描く未来・バーチャル空間の「自分の部屋」でできること・web3で、人はふたたび「所有の主体」になる・自分の「評判」をマネジメントする・場ごとの文脈に沿った自己として存在する・「本当は何者なのか」が関係ない世界【第4章】 〜教育─社会は、学歴至上主義から脱却する〜・学歴以上に個人の才能を物語るもの・学びと仕事が一本化する・学ぶ動機が情熱を生む-web3がもたらす「参加型教育」・文系理系を分けるナンセンス・「下請け」に甘んじてきた技術者を解放せよ・web3は役に立つか 答えは自分のなかにある・本物の「アントレプレナーシップ」を育てる【第5章】 〜民主主義-新たな直接民主制が実現する〜・ガバナンスが民主化する・衆愚政治に陥らないために・既存の世界は、新しい経済圏を敵視するか・加熱し続けるクリプトエコノミー・必ず知っておくべきリスク・「新たな支配者」が現れるか、「真の民主化」が叶うか・DAOに見る、環境問題解決への道筋・新時代のメリットを享受できる人、できない人・web3参入のファーストステップ【第6章】〜 すべてが激変する未来に、日本はどう備えるべきか〜・最先端テクノロジーが、日本再生の突破口を開く・「参入障壁」という巨大ファイアーウォールを取り払う・デジタル人材の海外流出を防げ・「ネクスト・ディズニー」が日本を席巻する日・なぜ日本では破壊的イノベーション企業が生まれないのか・ムーブメントを一過性のブームで終わらせないために・ドメスティックをデジタルへ、デジタルをグローバルヘ【おわりに】以上。【まとめ】最後まで、レビューをお読み下さりありがとうございます。本書に未来の姿を伝えてもらい、私たちにより多くの知的好奇心を満たしてくれる本でした。【レビューを終えて一言】『私の知りたかったWeb3.0のことや、今後の未来のうつりかわりがよくわかり勉強になりましました。著者に感謝です。』Web3、メタバース、NFTに関心があるみなさまにお薦めしたい一冊です。
4位 第三次世界大戦はもう始まっている (文春新書 1367)
著者:エマニュエル・トッド
発行日:2022年06月17日
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投稿者:sarius
ヨーロッパの覚醒に期待する
またひとり「知の巨人」に出会ってしまった。 今般のウクライナ戦争について、〈主権侵害は犯罪〉〈被害者は自業自得〉〈加害者には領土と斟酌を〉。 この三つの主張のジャグリングを器用にやってのける離業は素晴らしい。本書のおかげで、私たちが何を捨て、何を作り直さなければならないか、プライオリティーが明らかになり今後のヴィジョンが定まった。感謝のしるしに星二つ。 著者はヨーロッパに「目覚め」を期待しているという。ウクライナを支援してロシアと敵対するような「とんでもなく馬鹿げた話」から、ある日突然目を覚ますことを。例えばドイツは自分の間違い(ウクライナ軍事支援)に気づいて「もうやめた」と言いさえすればよく、フランスはついて行くだろうという趣旨の話をしている。(2022年5月30日・31付日経ビジネスのオンラインインタビューより) 私もヨーロッパが目覚めることを切に願う。ただし、全く別の朝に。 「ロシアなしではやっていけない」という思い込みから解放され、政治・経済・軍事の世界秩序を再構築する必要に目覚めなければならない。脱ロシア依存は急務である。しばらくは痛みを伴うにしても、平和のコストとして耐えていきたい。価値あるものはすべてそのように贖われてきた。 トッド氏の定見によれば、ヨーロッパの熱狂的なウクライナ支援は「集団的狂気」ということになる。(前出インタビューより) だが、現実のウクライナ支援者の多くは、別に熱に浮かされているわけではない。善玉(ウ)vs. 悪玉(ロ)のどっちが勝つかという単純な二元論に興じているのは主に10歳未満(精神年齢含む)の人たちだ。それ以外の者にとっては、現在、そして将来の文明社会の構成員が、主権侵害とその再犯を許すか許さないかの問題なのだ。 「主権の尊重」は世界の国々が平和共生するための大前提であり、この基本中の基本ルールを繰り返し破って国際社会に多大な迷惑をかけるロシアに対して、私たちは “No!” を突きつける。これが逆に、ウクライナ軍がロシアに侵攻してサンクトペテルブルグやモスクワを襲撃したのだったら、私たちはウクライナに対して断固 “No!” と言う。 ロシアがウクライナとの現状国境線は正しくないと考えるなら、なぜ1991年に正々堂々と不服を申し立てなかったのか? いったん承認したものを、やっぱり惜しくなったからと武力で無理やり変更しに行く厚かましさとみっともなさは、誰がどんなレトリックを駆使しようと擁護できるものではない。 将来、どんな小さな国であっても、そこに主権と領土がある限り、再び帝国主義国家の侵略と脅迫に悩まされることがないように、EUとその賛同国があらゆる知恵と行動力を示す時が来ていると思う。 自称「冷酷な歴史家」は、ウクライナは人工的に作られたもので、成熟した健全な国家ではないという。 だが、初めから成熟した立派な国などない。未熟だろうと貧しかろうといまだ覚束ない改革途上にあろうと、国際的に承認された主権国家である以上、自国の方向性は(国際法の範囲で)よその国の顔色を気にせずに自決する権利があり、その決定が気に入らない赤の他国が報復のために武力で攻め入るなど論外である。子どもは毒親から、妻は暴力亭主から、ウクライナはプーチンから離れて自分で友達を選ぶ権利がある。(ウクライナ東部にロシア恋しの少数「民族」がいて保護が必要というのなら、プーチンが自国に引き取って面倒を見てあげればいいではないか。) 地政学も歴史学も、ナチスドイツ時代には領土拡張の戦略論として使われた。学者はその悪しき伝統を断ち切るよう、倫理的進化の立ち遅れた大国の指導者を説得することに頭を使うべきだ。 トッド氏について言えば、いち読者の身で僭越ながら、一つ宿題を出したい。:インターネット・リテラシーを向上させてネット上の情報も活用すること。 この人の情報源は主にテレビ、新聞、書籍雑誌で、オンラインでは主要メディアの電子版を読むぐらいらしい。そのためか、時々現実と乖離した奇説が登場する。微笑ましいこともあれば、迷惑なこともある。とんでもなく鈍感だと思うこともある。 例えば本書では、ヨーロッパ人の「非合理的なロシア嫌い」の理由がよくわからないと嘆いているが、SNSをちょっとのぞけばプーチンとロシアが嫌われる理由はゴロゴロ出てくる。プーチンが情報統制のためにTwitter等SNSへのアクセスを遮断する前は、ロシア国内からの発信も活発だった。 また、ロシア発展の証左の一つとして自殺率の低下を挙げているが、不審死率を調査したことはあるのだろうか? イギリスの積極的なウクライナ支援と強烈な反露感情に驚いたというが、2018年に英国南部で起きたソールズベリ毒殺未遂事件一つとっても、嫌われるには十分な理由である。テレビのニュースに加えて〈Bellingcat〉などのサイトでフォローしていれば、イギリス国民の嫌露・反露は容易に理解できるはずだ。政府の工作員が観光客のふりをしてノビチョク(一度付着すると50年汚染が続くと言われる)を持ち込み暗殺を企てるような国を友人と思えと言われても困る。 定年退職した学者といえども、昔の予想が当たったことを喜ぶだけでは虚しい。まだ本を書く気があるのなら、時にはインターネットというゴミと宝の海に果敢に飛び込んで自ら情報を狩り、知識や事実認識をアップデートしてはどうか。今どき主要メディアの報道に頼るだけでは研究者は務まるまいと思うのだが。 過去・現在の情況分析に加えて「より良き未来」へのリンクを持たないならば、あらゆる学術研究は「知」の独り遊びに終わってしまう。 2019年の大統領選挙。やがて来る未曾有の国難に立ち向かうために運命がウクライナを委ねたのは、人々が「道化」と呼んだ男だった。 2022年にロシアの軍事侵攻が始まったとき、彼は「脱出を支援する」という声を聞き入れて国外へ逃げることもできたのに、首都にとどまる道を選んだ。最も困難なときに、最も期待されていなかった「普通の人」が、最大の勇気と抵抗を世界に示した。 古今の英雄譚が人の心をつかむのは、その始まりの多くが「小さき者」であるからだ。小さき者、貧しき者が過ちや苦難を乗り越えて成長し、やがて偉大な王となる物語は人類を永遠に魅了する。 そんな英雄伝説を共有する人々の間で、ウクライナの現大統領はすでにヒーローである。短所も失敗もひっくるめて、一日一日、渾身の力で歴史に自分の生き様を刻んでいる「普通の人」を、私たちはリアルタイムで見ている。おそらくはエマニュエル・トッド氏の令名と生涯の全著作が忘れ去られた後も、末長く世界の記憶にとどまるであろう人物を。 今後もゼレンスキー氏の人間的成長とリーダーシップの円熟に期待しつつ、ウクライナとEU含む民主主義陣営の最終勝利を見届けたいと思う。
5位 絶対悲観主義 (講談社+α新書)
著者:楠木 建
発行日:2022年06月22日
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投稿者:タケシ
より個人の考えに踏み込んだエッセイ集
「ストーリーとしての競争戦略」「逆タイムマシン経営」など、流行に左右されず経営の本質を突いた考え方を「痺れる」などのことばで分かりやすく伝える天才だと思う。自分は学者であり企業経営のプロではないと述べるなど、経営学者の大御所や経営コンサルタントとは一線を引く謙虚さがまた良く、私は大ファンで、セミナーも多数拝聴している。今回も大筋の内容は期待通りで、ビジネス書に比べてより個人が歩んできた人生や趣味にも及ぶ考えを披露してくれており、ファンにはたまらないものだ。ただ、少し個人的な主観に踏み込みすぎて、個人名を出して嫌いだなどと述べるところが後味の悪さを感じてしまった。(ほとんどの方は、あとから大好きになったとしているが)
6位 文藝春秋2022年8月号[雑誌]
著者:藤原正彦
発行日:2022年07月08日
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投稿者:不思議なピーチパイ
虚像の重信房子
『文藝春秋』を読むのも随分久し振りである。いつの頃からか本誌も、執筆原稿より当事者にインタビューして、それを専門のライターが文字起こしした記事が多くなり、読み応えというのが薄れたことが理由である。ホットな話題を手っ取り早く誌面に載せるための便法なのは分かるが、そんなことは週刊誌の方でやって欲しい。さて、この2022年8月号を手に取ったのは「左翼特集」のせいである。少し前に講談社現代新書から出た『真説 日本左翼史』『激動 日本左翼史』の2冊が面白かったので、どれどれ…という次第。冒頭の池上彰・佐藤優対談は新書本の焼き直しみたいなもので、あちらを読んでいるなら飛ばしてもOK。興味深いのは “「私党」重信房子と日本赤軍 田原牧” の方だろう。当時の内情を知る元活動家の手記などにより、知ってる人は既に知ってる類の話らしいのだが、私には初見である。要するに、革命の闘士・重信房子というのはとんだ虚像で、実態がなかったというのだ。記事に曰く、重信房子の名を高めた1972年5月の「ロッド国際空港テロ事件」に彼女は全く関与しておらず、事件に便乗して「赤軍派の手柄」と誇大宣伝したに過ぎないとか。事程左様に、この記事は重信房子の偶像破壊に終始している。こういうものを読むと、つまるところ、あの永田洋子と重信房子に対する左派論壇やジャーナリストの扱いの差は、見映えの良し悪しだったんじゃないかと思えてくる。それが満更冗談でもなさそうなのが、イイ女に弱い男の莫迦さ加減である。なんだかなぁ…。特集以外では、“坂本君と大瀧さんと…70年安保世代の音楽交友録 山下達郎”、“『ゴッドファーザー』と『仁義なき戦い』 伊藤彰彦” の2本がお薦め。
7位 安倍晋三 時代に挑む!
著者:安倍 晋三
発行日:2022年06月08日
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投稿者:ヘルベルト
中庸な良識の持ち主、安倍晋三氏
…こんなことが有るのか…安倍元総理が、暗殺された。謹んでご冥福をお祈りします、と書くべきなのだろうが、とても今は受け入れられない。101年前、原敬暗殺事件があり、Wikipediaで調べようとしたが、…駄目。安倍さんの遺志を受け継いでいかねばならないと、頭では解っていても、こんな現実を、簡単にハイそうですかと受け入れられるワケがない。原敬が生きていてくれたら、元老として日米開戦を避け得たと言われる事がある。スペイン風邪やロシア革命の動乱など、歴史的アナロジーも成立ちやすい。が、今はまだ早い。余りにも大きな、憲政史上最大の政治家を我々は喪った。安倍さん、帰ってきてください。私達は、日本はまだ貴方を必要としている…(令和4年7月8日)安倍晋三元総理と各界一流人とのトップ対談。雑誌WILLに掲載された対談集なので、例えば加地伸行氏とは、2018年の対談だが、不思議に古くならない。一国の総理を通算10年近く務めた人ながら、安倍晋三という人は、本当に偉ぶらない。対談相手が自然に総理を尊敬する様子が、よく伝わってくる。佐藤栄作から50年以上、歴代首相を見てきたが、他にこのような総理大臣はいない。岡崎久彦氏が、第一次政権末期に、安倍晋三という人は不思議な人…と述べた意味が少し解った気がした。冒頭で北村滋前国家安全保障局長河野克俊前統合幕僚長2人との対論は、ロシアのウクライナ侵略を受けてのもので流石に他とは緊迫感が違う。その骨子は、櫻井よしこ氏の時同様、ウクライナのNATO加盟が成されていれば、今回の戦争はなかったと結論付けている。第二次安倍内閣による集団的自衛権部分行使を認めた、平和安全法制に対する批判が遂に消えた事が、何より戦争抑止に有効だという事を証明している。安倍氏は、これとデフレからの脱却を、自身の長期政権の最大の成果の二本柱に位置づけている。本当に平成24年(2012)12月26日に第二次安倍内閣が発足してくれて良かった。あのとき安倍晋三氏以外の誰でも上手くいかなかっただろう。その安倍氏は、櫻井よしこ氏とさらなる財政出動の必要性を説く。これを高市早苗内閣でサナエノミクスとして結実させねば、日本はもはや、経済でも三流に転落するだろう。ずいぶん深刻に書いたが、座談の名手の安倍氏の言葉を読むと、不思議と不安が和らぐ。第一次世界大戦で破れたドイツ陸軍最後の参謀総長フォン・ ゼークトは、「我々は優秀な将校を養成できたが、優秀な司令官を作れなかった。優秀な司令官をどう養成するのかは解らないが、唯一つ分かっているのは、優秀な司令官は朗らかだ、という事だ」と述べた。これは河野克俊氏の著書にもあり、最高司令官の安倍晋三総理から、常々感じる。また岸信介、佐藤栄作、安倍晋三、三代の総理のときは必ず好景気である。因みに吉田茂-麻生太郎、鳩山一郎-鳩山由紀夫の祖父と孫の総理の時は、ハッキリ言って最悪のタイミングで総理のポストが巡って来ており、麻生・鳩山由紀夫内閣は短命に終わる。総理や司令官、経営者、チームの監督など、トップの持つツキというものは国民にとり非常に重要だ。本書後半は、百田尚樹、弘兼憲史、ケント・ギルバート、加地伸行氏等との対論。デフレから順調に回復した第二次安倍内閣の幸福な瞬間の、愉しい記憶である。若いと思っていた団塊世代の弘兼憲史がもう75歳で、この対論メンバー内でも年長の部類であり、これでは島耕作も歳を重ね相談役になる訳である。不勉強で恥ずかしいが、島耕作がコロナウイルスに罹患し、隔離生活を送ったのは初めて知った。またケント・ギルバート氏に米国国記の依頼があるそうだが、それは是非読みたいものだ。日米同盟の重要性を否定するのは、もはや共産党だけだが、ルトワックは今月のHanadaのコラムで、NATO傘下のポーランド軍の気の緩みを指摘した。日本人にはドキリとする話ではないだろうか?対論の後に、石原慎太郎・渡部昇一両巨頭への追悼オマージュと、2015年の戦後七十年談話が収録されている。安倍氏は小選挙区制の元で派閥の力が相対的に下った状況だったら石原慎太郎が総理総裁になり得た、と述べているのが注目。また一議員時代、2012年自民党総裁選に復活を賭ける直前の安倍晋三氏を、渡部昇一が、自宅に招待し背中を押してくれた、とも明かしている。硬派中の硬派の保守論客の渡部昇一教授が、安倍総理による戦後七十年談話を賞讃し、戦後100年まで、談話は必要ないと評価したことに感謝したい。渡部昇一氏の、この小異を捨てて大同に就くスピリットこそ、保守の神髄だと思う。岡崎久彦大使はそれを「お国の一大事のとき、敵でない者は皆味方だ」と、とかく円心力が働き、バラバラな保守陣営の大同団結を促した。畢竟はお国のため、憲法改正のためである。本書で安倍元総理は、再三再四、冷戦の最前線は、東西ドイツから、インド太平洋、そして南西諸島の第二列島線に移ったと述べている。まだまだ中国との、互いの存亡を賭けた戦いが続き、時には苦しく堪え難い事もあるに違いないが、そういうときこそ、安倍晋三氏の司令官としての明朗さに救われるだろう。
8位 陸上自衛隊ますらお日記
著者:ぱやぱやくん
発行日:2022年02月24日
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投稿者:剛健おじさん
自衛隊に興味なくても死ぬほど笑えます。
陸上自衛隊を定年退官して早10数年陸上自衛隊について書かれた本は山のようにありますが、どれを読んでも現場の空気感とは程遠いものでした。たとえば、高級幕僚の裏話や、どこの馬の骨かわからない幹部の役に立つ話、陸士で退職したタレントの四方山話などなど。正直行って、そのどれもが、一般の読者にとって、陸上自衛隊の空気感を読者によりわからなくさせてるだけだと感じていました。テレビを見ても広報用の映像は山のように流れてきますが、実際の空気感とは全然違います。しかし、この本書を読んで、自分が、陸士→陸曹→幹部と勤務してきた思い出をありありと思い出すとことができました。読みながら「うんうん。そうだよ!これが陸上自衛隊だよ」と思いながら、腹が捩れるほど笑いました。こんなすごい本出してくれてありがとう。みなさんも是非読んでみてください。
9位 パリの空の下で、息子とぼくの3000日
著者:辻仁成
発行日:2022年06月30日
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投稿者:rin
悲しい日記ではないのに何故か泣ける…
1年前からJINSEi STORIESを楽しみに読ませて頂いていて、それ以前の辻さん父子の生活が知りたくて、発売1ヶ月前から予約していました。男親って頑張って子育てしても報われないことが多いし、読んでいて身につまされる事が多く、悲しい日記でもないのに泣きながら読んでいます。誰も頼る人の居ないパリで、良く二人で頑張ってきたとまた泣けてきます。辻さん、息子さんがご自分にも子供ができて辻さんの気持ちを理解してくれるようになるまで、どうぞ元気で居てください。この3000日がどんなに大変で愛おしい日々だったか、同じ立場になって初めて分かって下さると思います。がんばれー!
10位 国民の眠りを覚ます「参政党」
著者:吉野 敏明
発行日:2022年02月05日
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投稿者:くむくむ
信じていた世の中は嘘ばかり
お二人の対談形式になっている本です。周りに流されず自分の信念を貫くために周囲と戦って来られた方々です。子どもの頃から、ニュースを見て社会や政治が何となく分かるようになり、「日本は官僚が政治をしっかりやっているから」と聞いていたし、偉い人(という言い方は合っているのか?)は悪いことはしないとどこかで信じていました。旧民主党が政権を取ってから何かおかしい、という事が出てきて、そしてチャンネル桜が出来て色々なとんでもない裏側の発信が行われるようになりました。神谷さん、吉野先生は既にご自身でそれをご存じで20年以上、やり続けてこられました。そのぶっちゃけトーク集とでも言いましょうか。確かにYoutubeで言ったら速攻バン!される内容ですし、現在地位と名誉のある政治家や医師の方々、立証できれば後ろに手が回る人が続出しそうです。そして陰謀論扱いされていたロスチャイルドやロックフェラーなどが日本の明治維新の時から日本を支配下に置こうとしていたことも、コロナ渦の始まり「ダイヤモンドプリンセス号」のコロナ対策を行おうと当時の功労大臣加藤氏と会いお話をされ、そこから色々あり、そして日本政府の「上」に動かしている権力があると実感された。その後、コロナの説明をするチャンネルを張徳義氏と開設されその後神谷さんと知り合ったことを書かれています。本の内容は衝撃的です。現在の日本の国家予算は約100兆円、そのうちの40兆円が医療費であり、なぜそんなことになっているかというのが、実は大東亜戦争に負けたことから仕掛けられた、日本から如何に富を収奪するかという計画の一つであると言うことです。多くの方に読んで頂きたいと思います。
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